日本のカッパドキアと呼ばれる吉見百穴

コロポックルの住居と呼ばれる吉見百穴

岩石遺跡群といえばカッパドキア、トルコ中央のアナトリア高原にある遺跡群が有名です。
そのカッパドキアとよく似た光景をもっている場所が埼玉にあります。
埼玉県吉見町にある吉見百穴と呼ばれるところで、岩石にぼこぼこと色々な大きさの孔が空いているのです。
まるで小人が暮らしているような?そんな不思議な空間となっています。

埼玉県のカッパドキアと呼ばれるこの場所、実は古墳時代後期、横穴古墳群です。
この場所が文献に登場するのは江戸時代中期あたり、実に不思議な穴があるとして興味を持っている人もいたようですが、当時、調べるすべもなく、科学的に研究されるようになったのは明治になってからになります。

東京大学の大学院生がこの場所を調査し、卒論として発掘したところ人骨や土器などが出土したのです。
発掘によって住居用の構造を持っていても設備など日本人が暮らすには無理があるため、アイヌの伝承に登場するコロポックル、つまり小人が暮らしていたと見解を示しています。
しかしその後、研究がすすめられるうちに、古墳時代、人の墓として利用されていたと発表し、その後きわめて重要な遺跡として知られるようになったのです。

吉見百穴の中はどうなっている?

横穴はそれほど大きさがありませんが、中には人が自由に入る事が出来るほどの大きさがあるものもあります。
その中には台座のようなものがあり、台座は二つだったり一つだったりいろいろです。
これがベッドの様に見えて住居と考えたともいえます。

見学に来た人がみなさんビックリされるのが、横穴以外に非常に大きな洞窟のような穴がある所です。
これをみると確かに住居と考えてもおかしくない場所といえます。
しかしここは、泰平代戦争末期、中島飛行場の大宮エンジン製造部門という所を、移設するために掘ったトンネルです。

トンネルは直径3mで500mほど掘られており、出入口が3か所あります。
終戦と同時にほぼ利用されなくなり、トンネルだけが残ったため、今も見ることができるのです。
全長の1/10程度が公開されていますが、1/10でもこのトンネルをみると大規模工場を計画していたことがわかります。

幻想的なヒカリゴケも見ておきたい

見どころとしては、色々な要素をもっている吉見百穴ですが、ここに生えているヒカリゴケもぜひ、見ておきたいところです。
洞窟のような暗く湿った場所に自生するエメラルド色に光るコケがヒカリゴケといわれています。
通常、本州でも中部地方以北に自生するコケなので、関東にある事は非常に珍しく、現在国の天然記念物指定を受けているのです。

ヒカリゴケが自生する様子をよく見ることができ、その幻想的な風景は他でみることがなかなか難しい風景となっています。
色々な見どころがある吉見百穴ですが、コロポックルの住居として考えてみると、より一層楽しくなるのではないかと感じる場所です。